2010年5月11日火曜日

動物運動の多様性その2 ~馬の走り

馬、
哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属
馬の運動ってどんななのでしょうか?

どんな運動を創り出した種なのでしょうか?

一般的に歩行様式は、四肢の接地順(右前肢→右後肢・・・など)で分類されます。
馬の歩行はバリエーションが豊富であり、競馬や馬術に歴史があるおかげで研究が盛んです。
ですので、本稿ではそうした一般的な分析はしません。
有り体に言えば、常識はずれな話であることをご承知おきください。




以前にもちょっと取り上げましたが、馬は斜めに走ります。

(アニメGIF動画、動いてない場合は、ブラウザをバージョンアップしてみてください)
首の動きにひとつのアクセントを感じないでしょうか?

比較してバッファローを見てみます。

伸びやかな首の動きがありません。
馬とはずいぶん違うことがお分かりになるかと思います。


先の馬の動画、
顔を左に向け、右斜め方向に走っています。

よく見ていただきたいのは、口先・首から上胸部に掛けて
ひとつの主導権のようなものを持っているところです。

そこを動かし、全身に運動を波及させている感じです。


馬に手綱さばきが通用するのも、主導権のある場所に手綱を掛けているのが一因ではないでしょうか。


対照的な動物は?
と考えますと、チーターがちょっと対照的です。

チーターが尻尾による方向転換をするのはよく知られております。

どんな感じか?
車のハンドルを切ったら後ろのタイヤが曲がるような感じ、ではどうでしょう?

運動の違いを物語るかのように、両者の首と尻尾の発達度合いは対照的です。
チーターに手綱をつけても捌きにくそうですね。
試しに尻尾につけてみたらどうでしょうか。
ま、冗談ですが・・・

ネコ科の動物全般、尻尾は発達してますが首は短めです。
比してイヌ科となると尻尾も首も発達しております。
首と尻尾だけで比較すると、馬とネコの間にあります。
ではどんな運動か?
そんなことを観察するのも面白いでしょう。
(今回は取り上げません)


ちょっとしか出てきませんが、チーターを見てみます。
チーターの顔のブレの”なさ”(最初の数秒)が見所です。
胴体の激しい動きがありながらも、顔は安定した場所にあり続けます。



1分47秒:走る馬の正面スローがあります。

見比べると馬の特徴がよく分かりやすいですね。
首をクイッコ!クイッコ!やってるのよく分かるかと思います。
ちなみに馬が停止する時、左右にブルブルやってるいのも、そんな運動方向の表れだと思います。


さて、首から上胸部に向けて片方に向くと、どんな作用があるのか?
試しに馬の真似をしてみました。

首の力をちょっと抜きまして、首を伸ばしながら、
そして軽く投げ出すように左を向いてみます。
すると右の肺が拡張しながら、右手にドンっと力が乗ります。
(しかし止まったところからやると、左手にかかると思います。
走ってるつもりで、馬の真似をしてみて下さい)
また右の鼻の穴から右肺までの気道が開放されるような感じがあります。

長距離を走るには片肺ずつ偏りを持たせる方が、体力が持つのでは?
そんな気がします。

そういえば学生時代、持久走で疲れてくると、右へ左へしながら走ってる人がいました。
彼の先祖は馬だった?
きっとそうに違いない。もっとよく観察しておくべきでした。

角速度
自転車などで緩やかなカーブを曲がるとき、車体を少し倒しただけでスピードに乗ってきます。
倒れるときの角速度が進行方向に加算されるわけです。
何となく無風状態といいますか、あくせくこぐことから開放されて楽になる瞬間です。
映像的にもよく使われるシーンですね。きれいな女性がスイーっと通り過ぎるような・・・

馬もそんな角速度と片肺モードを使っているのでは?
と思っております。


さて馬の真似について、補足しておきます。
左に向いていくと右手に重心が掛かります。

このとき馬ならどちらの足をつくか?
これはあまり重要ではありません。
重要なのは重心が体の外へ外れていくことです。
ここに馬の走法の妙があるのだと思います。

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